社長に呼ばれた
私たちが働いている運送会社は、震災後にダンプの仕事をはじめた会社です。震災後の復興需要で、一時期はダンプの仕事も多かったのですが、年々先細りになっている感があります。震災直後は他府県ナンバーのダンプが多かったのですが、今は一時期に比べれば少なくなってきました。今年は特に、二月の末から段々と仕事が薄くなり、三月には仕事のない日が続いています。お世話になっている会社の場合、ダンプの運転手は日給月給ですので、会社からの金銭的な保証は何もありません。日給月給という「仕事がなければ、お金がもらえないシステム」の元で働くのは、このようにかなりリスキーです。しかし仕事の性格上、多くのダンプ運転手は、このような形で働いています。中には月ごとに最低の給料が保証されている会社もあります。
そのような中、私たちは先日、会社から呼び出しを受けました。
救済措置
私たちはダンプカーの運転手として採用されています。基本的にはダンプカーの運転しか行いません。でも、こちらの会社はダンプカー以外に歴史ある専門の分野があります。社長も、私たちの状況を私たち以上に理解してくれており、会社として何とか皆さんの応援をしたい、と言ってくれました。仕事をせずに家にいればお金はもらえませんが、会社に出てきて、指示された作業をすれば、ダンプカーに乗っている時の給料ほどではないものの、ガードマン以上、運転手以下位の感じで日当を払うので、やる気がある方はこちらを手伝って下さい、とのことでした。また、ダンプカーではない運転の仕事もいろいろとあり、こちらは空きがいくらでもあるので、やる気のある方は検討して下さい、とのことでした。
見通し
ダンプの仕事は年度末から年始にかけて少なくなってしまう傾向があるようです。私たちは周囲の人が話す情報を聞いているだけなので何とも判断がつきかねますが、建設業に幅広い人脈を持ち、長い間会社を経営してきた社長がそういうのですから間違いないと思います。また、規制の解除によって原発近くに仕事が増えてきていますが、この原発近くのダンプの仕事は地元のナンバーが優先で行われます。私たちは隣県ですので、今のところはこちらの仕事をメインにすることはできません。会社は、せっかくご縁あって採用した人材を無給で放置してしまうのは申し訳ないと、今回の救済措置を提示してくれたのでした。
運転手の反応
ダンプの乗務員一同が社長をはじめとする経営サイドと、会社の会議室で顔をつきあわせることなど滅多にありません。招集がかかった当日、運転手は皆、マイナスの状況を考えていました。私たちは解雇されるのではないか、会社はダンプの仕事を辞めてしまうのではないか、私たちはどうなってしまうのか、仕事がなくなってしまうのか、働けなくなるのか、不安で仕方ありませんでした。しかし、蓋を開けてみれば、会社の提示はとても良心的なものでした。本来なら支払わなくてもいい手当を、何とかして私たちの将来、会社の将来を思って支払ってくれるとのことでしたので、私自身は納得しました。会社が提示した作業を、どうしても受け入れることができない者もいるかもしれません。そのような人はムリせずに、断って欲しい、でも、それなら日当は払えない、と、そこはハッキリと言われました。いずれにせよ、無給で家に閉じこもることはこれでなくなりましたので、一安心と言えます。
個人で選択
今は皆ダンプの運転手ですが、それぞれに運転の仕事を経験してきています。社長の話の後、何人かは、仕事が増えてくる5月までの間、他の仕事をもする選択をしました。どうしても作業を受け入れる事が出来ない者は今まで通り、ダンプの仕事を待つ事になります。日給月給で採用されたとはいえ、会社としては精一杯の救済措置をしてくれているという事を肌で感じることができました。
まとめ
あなたがダンプカーの運転手になりたいと思っているなら、この事をまずは覚えておきましょう。あなたが応募しようと考えている会社は、どのような会社でしょうか。売り上げは順調でしょうか。主な収入源はどの事業からなのでしょうか。会社の歴史はどうでしょうか。業界内における、あるいは地域における会社の位置づけ、評判はどうでしょうか。実際に働いている人の状況はどうでしょうか。従業員はいい車に乗っているでしょうか。主な荷主はどこでしょうか。通年仕事があるでしょうか。入社前にこのようなことを全て見極めるのはムリだとは思いますが、仕事をしながらでも少しずつ考えていき、場合によっては適切な判断を下すことが必要になるかも知れません。ダンプの運転手は会社替えをする人が多くいます。給料の月額保証はありがたいですが、従業員に優しいあまりに破産してしまった会社を私は知っています。