昭和59年式ソアラ ツインカム24 白
このタイトルは59年式ソアラ~と書きはじめたのですが、書き終わって頭に昭和を付け加えました。月日の経過を感じずにはいられません。私は高校生の頃、デニーズというファミリーレストランでバイトをしていました。当時二輪の免許を取り、最新のバイクであったRG250Γを買ったのですが、バイクや用品の支払いに追われ、ガソリン代が出せず、せっかく250のバイクを買ったのに、原付ばかりに乗っていました。そんな生活を送っていた昭和58年、ファミリーレストランの店長、マネージャーが新しい白い車に乗ってきました。その車はとてもかっこよく、のちにその車がソアラという名前だということを知ります。しかし、その店長は経費を節減するためにボイラーの出力を弱めたり、私たちの要望を聞く耳を持っていなかったり、あまり評判がよろしくなかったので、白いソアラはカッコよかったものの、心から受け入れるには至りませんでした。私はキッチンで働いていたのですが、その後しばらくすると、キッチンの朝のシフトだった方が、突然鼻っ面の長いスポーツカーに乗ってきました。これはセリカダブルエックスという車で、TWINCAM24というエンブレムがやけに印象的でした。よく見ると、このエンブレムはマネージャーのソアラにもついており、カッコイイ車はTWINCAM24なんだ、と、思うようになっていったのでした。セリカダブルエックスはドアミラーでしたが、マネージャーのソアラはフェンダーミラーでした。当時はフェンダーミラーが主流で、ドアミラー解除になったばかりの頃です。「ドアミラーは見ずらい」という人もいましたが、マネージャーはしばらくして、白いソアラのフェンダーミラーをドアミラーに変えました。新車のソアラとダブルエックスが並ぶ、デニーズの裏は、私にとってとても楽しい場所でした。近くに大学があったせいで、私は地元でしたが、地方からの人と、そこでとても仲良くなりました。みんなお金持ちだったので、親から車を与えられていました。サーファーのHさんはトランクのあるシルビアに乗っていました。スキーが上手なSさんは、スカイラインジャパン、車はどうでもいいんだが口癖のFさんは、ホンダZでした。そんな中、広島のAさんが、なんとソアラの新車を買ったのです。それもツインカム24の白、ドアミラーです。Aさんとはとても仲が良かったので、私はこの車でいろいろな所に遊びに行きました。Aさんは、純正のホイールをBBSに変え、ミシュランのタイヤを履きました。貧弱な純正のオーディオを、アルパインのコンポに変えました。BBS一式で60万以上、アルパインのコンポも30万以上しました。Aさんのご実家は広島でご商売をされているそうで、とても羽振りがよく、せっかく大好きなバイクを買ったのに、ローンに追われて原付しか乗れないでいるような、根っからケチケチの私にとってAさんとの出会いはカルチャーショックでした。もちろん維持費やガソリン代も親持ち、聞くところによれば、当時一か月8万円以上をガソリン代に使っていたそうです。私はAさんに付いて回り、ソアラのツインカム24で、いろいろな所に連れて行ってもらいました。やがて私は運命なのか、ソアラを扱うトヨタのディーラーに就職が決まりましたが、入社式前日の夜10時までバイトをしているような、バイトと車に傾倒する日々が続きました。就職後も元バイト先に入りびたり気味になり、こんなんでは車など売れるはずもないと自分なりに思ったものでした。今となっては過去の栄光ですが、この頃、トヨタのツインカム24というエンジンを搭載した車は大人気でした。フルモデルチェンジの前後で、マークⅡ、クレスタ、チェイサー三兄弟にも搭載され、ただグラと呼ばれた1Gエンジンと並んで人気がありました。実際、冷静になって振り返ってみると、低速域では音ばかり大きくて加速も大したことはなく、大きなボディーの割には非力なエンジンだったという意見も多いのですが、とにかく新車でもよく売れましたし、中古車でもかなり人気がありました。この当時、ツインカム24や1Gが売れたのには、もう一つ理由があります。それは、高額な自動車税です。5ナンバーのソアラは年間39500円でしたが、ラインアップされていた2800cc、3ナンバーの自動車税は、当時年間81500円でしたので、その影響が大きく出ていたものと思われます。このような事実があるので、当時は「3ナンバーに乗っている」ということが一種のステータスになっていました。余談になりますが、このツインカム24のエンジンはヤマハ製で、エンジンブロックの脇にヤマハのロゴとヤマハの音叉の印が刻印されていました。遡るなら、TOYOTA2000GTのエンジンもヤマハ製です。このように、昭和58年に発売されたツインカム24ですが、ドアミラーが標準になった昭和59年式の白いソアラが私は大好きです。って、単に思い出が詰まっているだけのお話しなのですが、楽しんでいただけたなら幸いです。ちなみにライバル車は、日産レパードです。ソアラに乗っている男としか付き合わない、なんてことをおっしゃっている女性もいらっしゃいました。今では伝説になりつつありますが、本当のお話です。