トレーラーのタイヤが上がっているのは何故?

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トレーラーのタイヤが上がっているのは何故?

トレーラーのタイヤが上がっているのは何故?

最近多くなりましたが、引っ張っている部分のタイヤが宙に浮いているトレーラーを見かけることがあると思います。これはどうしてこのようになっているのかご存知でしょうか?わざわざタイヤを上に持ち上げて走行しているわけですから、この裏には理由があるはずです。実はこの仕組みの裏には、日本独自の理由があったのです。海外ではおそらくないと思います。

自動で上がったり下がったりする

タイヤを上げたり下げたりするのに、運転手は特に何も操作をすることはありません。いつも通りに運転をしているだけです。タイヤに積み荷の荷重がかかると、重みを感知して自動的にタイヤが接地する仕組みです。荷卸しを終えて荷重が少なくなると、自動的にタイヤが上に上がります。トラックにはエアタンクがありますので、エアの力でタイヤを上げたり下げたりしています。

どうしてタイヤを上げるの?

この質問の答えは、高速道路の料金区分にあります。けん引するトラクタが2軸の場合、ひっぱる台車の車軸が1軸だと大型車、2軸だと特大車になります。大型車と特大車の高速料金はかなり違うので、空車の場合は高速料金節約のために、大型車区分で通行するためにタイヤを持ち上げています。ちなみに大型車と特大車とで高速料金がどの位違うのかを見てみましょう。私たちの地域でよく利用する区間、仙台港ICー山形蔵王ICで調べてみますと、通常の大型車ETC料金が3,500円なのに対して、特大車だと5,810円もします。差額が2,310円もありますので、一日仮に二往復する仕事でしたら、4,620円も高速料金が節約できるということになります。経費の節減は利益に繋がりますので、物流業界にとってこれは大きな節約となります。

もう一つのメリット

タイヤを転がして引っ張っているだけで、トラクタには抵抗がかかっています。タイヤの接地が一軸少なくなることで、トラクタへの負担が軽減されます。具体的には、燃費の向上、タイヤの摩耗が少なくて済む、などのメリットが期待できます。逆にデメリットとしては、運転手にかかる負担が大きくなります。タイヤが一つ浮くことで内輪差に微妙な違いが生じますし、特に雪道や凍結路面などではタイヤの状況による挙動の変化に対応する必要があります。後ろが二軸ということは、トラクタへの荷重も分散されているケースが多いので、雪の峠道などでは過信することなく、早めにチェーンを巻くなどの対応が必要になるかもしれません。また、私がかつて所属していた会社ではいち早くこの車両を導入しましたが、何度か不具合が発生し、修理をしていました。出始めの頃でしたので仕方なかったのかもしれませんが、今はかなりシステムも洗練されてきたのではと思いますが、故障の要因が増えることは運転手にとってはあまり嬉しいものではありません。

タンクローリーの例

タンクローリーは、通常のトレーラーは20キロ、2万リットル積載することができます。これが、後ろを二軸にすると、24キロ積めるようになります。配車する側からすれば、一回のトリップで4キロ余計に配送できる訳ですから、当然効率が上がります。運転する側から言うと、大きなスタンドなら問題ありませんが、今でも中-小規模のスタンドは存在し、ようやく20キロで入れる所もあります。ここへ24キロで行かなければならないのは結構厳しいものがあります。いつも何もない状態ならいいのですが、スタンドの現場は常に動いていますので、お客さんがいたり、修理の車があったり、従業員の車が止まっていたりします。ちょっと伸ばし切れなかったり、頭のラインが変わってしまったりすると、結構しんどい場合もあります。また、先ほども少し書きましたが、雪の高速での峠道は、トラクタへの荷重が減りますので、必然的に走りにくくなります。運転手が慣れていかなければいけないとは思いますが、個人的にもかつての同僚たちの話でも、タンクローリーは20キロが一番乗りやすいと言っています。

まとめ

トレーラーのタイヤが上がっているのは、結局のところは物流の効率化と、運送業界の経費節減を図るためということになります。運送業界は燃料の高騰や人手不足など、構造的な問題を抱えています。日本人ならではのこのシステムが、少しでも日本の物流を良くできればな、と思っています。皆様もこのタイヤの上がっているトレーラーを見たら、運送業界は大変なんだな、と少しでも思っていただければ嬉しく思います。

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