大型車のタイヤ交換は自分でするのですか?
大型車のタイヤは大きくて重い
ご存知の通り、大型車のタイヤはとても大きく、ホイールまで含めるとその重量は100キロを超えます。タイヤはゴムでできていますが、中にはワイヤーが入っているため、皆様が思っている以上に重量があります。その重さは、標準的なサイズ、11R22.5 というサイズで一本約60kgあります。ホイールは通常鉄でできています。扱っているとかなりの重量感がありますが、こちらが約40kg。タイヤというのは、タイヤとホイールで構成されていますから、その総重量は約100kgです。トラックの中でもとても大きくて重たい部品です。
路上故障、パンクの際は?
数十年前までは、トラックが路肩でタイヤ交換をしている光景を見る事がありましたが、近年ではそれほど目にすることはありません。チューブレスタイプのタイヤが普及したことで、突然のパンクが少なくなったことが要因の一つとして挙げられるでしょう。仮に小さな釘を踏んでしまった場合、「リング」と呼ばれるチューブタイプのタイヤであれば、簡単に空気が抜けて、走行不能となります。これがチューブレスであれば、少しずつ空気が抜けていくので、状況にもよりますが、いきなり空気がなくなるということはなく、徐々に抜けていくという状態になります。
トラックはもちろん非常時に備えて、スペアタイヤ、ジャッキ、三角表示板などを車に備えてつけていますが、現在ではあまり使わなくなっています。路上で故障、パンクした際には、運転手自らが対応するのではなく、自分の工場があるなら自社工場の整備士が駆けつけて作業します。契約しているタイヤショップ、ブランドがあれば、そこの事務所から応援が来るでしょう。どうにもならないような山岳地帯や現場などの場合は運転手が対応するかもしれませんが、基本的に運転手はパンク時に路上でのタイヤ交換はしません。どうにもならない場合は行わねばなりませんが、そのケースもそれほどはないと思います。
寒い地域の年中行事
東北から北の地域や、配送先に降雪地帯が含まれているトラックの場合、冬になる前に、タイヤを新しいスタッドレスに履き替えます。普通の後輪二軸でも十本あります。重量物を積む駆動軸二軸タイプのトレーラーヘッドと台車の場合だと、二十本以上になる場合もあります。会社や運行形態などいろいろな要素によっても違いますが、基本的にはこのタイヤを全て、冬タイヤ、スタッドレスタイヤに履き替えます。
私はタンクローリーの会社に入社した際、このタイヤ交換を全て手作業で行っていました。タイヤを外す、剥く、組む、トラックに組み付ける、を、ネジを回すインパクト以外は全て手作業で行っていました。100kgのものを扱うのですから、かなりしんどかったのを思い出します。手作業で数年行った後、タイヤメーカーとの契約ということになり、私たちは緊急時以外はタイヤを扱わなくていいことになりました。段取りをして、決められた時間にタイヤメーカーのピットに行くと、タイヤ交換をしてくれるようになったので、とても楽になりました。ローテーションも、予約をすればしてもらえます。とても楽でした。
ダンプの会社
私が今お世話になっている会社は、残念ながら外注ではありません。会社にはタイヤからホイールを外したり、組んだりする機械、「タイヤチェンジャー」があって、これを運転手が扱い、タイヤ交換をします。車にもよりますが、冬になる前に履いたタイヤをそのまま翌年まで「履きつぶし」で使うケースが多いです。
大型車タイヤ総評
大型トラックのタイヤ管理に関しては、会社によって様々な形態があります。大手と呼ばれている会社であれば、既に外注化が進んでいるでしょう。私が今お世話になっている会社は、規模はそこそこだとは思うのですが個人経営の会社です。配車係の上が社長というような組織ですので、タイヤの完全外注化は難しいのかもしれません。その代わり、自社工場完備、屋根付きのオイルピット、屋根付きのタイヤピットがあり、タイヤチェンジャーも完備しています。運送業に入りたての場合は見極めも難しいかもしれませんが、業界に長い事身を置いていると、どのような身の振り方をすればいいのか、本能的にわかるようになって行きます。タイヤ管理の様子を聞けば、その運送会社の状態がわかるようになるのです。