ディーラーで中古車を買うメリット
私は自動車ディーラーで中古車販売の営業を4年間していました。その中で、いろいろと良いことや悪いことなどを経験しています。お客様がまずはじめて車を買うとして、自動車ディーラーで買うことは果たしてどうなのか?メリットやデメリットを経験を実際の経験をもとに、わかりやすくご説明したいと思います。
まずはデメリット
一番わかりやすいのが、ディーラーで中古車を買うことのデメリットです。往々にして、中古車販売店よりも価格が高めに設定されています。各種手数料もしっかりと計上されるでしょう。とにかく周囲と比べると「高い」印象が拭い切れません。どうしてなのかと考えてみるのですが、やはりできるだけ相場の価格を落としたくないという意識が、組織の中にあるのだと思います。また、もう一つ面白い現象としては、とある新車が爆発的に売れると、その新車を買った人が乗っていた下取り車が、沢山入ってきます。ちょっと古くて申し訳なく思いますが、確か昭和59年の7月にマークⅡのGX71という車が発売されたのですが、この車はとんでもない勢いで売れました。下取り車もやはりマークⅡが多く、GX51クレスタ、GX61のマークⅡ三兄弟で、一時期展示場がいっぱいになってしまったのを覚えています。同じような車に、136万円という同じような価格を沢山掲示したのを今でもはっきりと覚えています。このように、ディーラーの中古車展示場の場合は、在庫が同じ車種に偏りがちです。その中で一台でも安くしてしまうと展示場全体の価格のバランスが取れなくなりますので、仕方なく、本部から指示されている価格を掲載するということになります。デメリットは、高い、ということです。あともう一つ、扱う車が限られていますので、車によって得意、不得意が発生する場合もありますね。
メリットは沢山ある
メリットは、実は沢山あります。まず、第一に言えることは、手厚い事前の整備と手厚い保証制度が受けられることです。私がいたところでは、納車の際には整備工場できちんと法令整備、車検が切れていれば車検を取り、凹みがあれば板金塗装をして、タイヤの溝がなければ4本取り換えて、オイルとエレメントももちろん交換し、納車の直前にバッテリーを新品に取り換えて納車をしていました。保証制度は当時は1年2万キロまでは完全に保証していましたが、保証が切れても特別に申請をして保証同様の処置をしたことが何度かありました。やはりディーラーとしては、お乗りいただいている車が、納車後に壊れてしまうという事に大変な危惧を抱いており、保証期間外でも保証期間同様に対応するケースがありました。納車後は一か月目に一か月無料点検があり、この時にいろいろな細かい点のご指摘を頂戴し、場合によっては代車を用意して、きちんと対応をしていました。時代的な背景もあったとは思いますが、車を買うことにまつわる様々な事柄、例えば、JAF加入とか、任意保険に新規で加入とか、車検整備とか、お客様によっては全てをお引き受けしていたケースも数多くありました。
新人の営業が担当だといいかもしれない
私は新人の頃、それ程お客さんの数も多くはなかったので、会社と上司の命令もあり、お客様のご自宅を定期的に訪問していました。当時はこれを「CR活動」と呼んでいました。その後車の調子はいかがでしょうか、もう少しで定期点検なので是非お願いします、車検もお願いします、保険も継続して下さいね、もしかして車を欲しい人などいらっしゃいましたら、是非ご紹介下さい、というように、数少ないお客様を嫌われる寸前の頻度で訪問していました。車を買うのが初めてで、何から何まで任せたい場合は、自動車ディーラーでのご購入をおすすめします。その中でも、若くて新人っぽい人から買うと、きちんとマニュアル通りに手厚いフォローをしてくれると思います。ここまでできるのは最初の新人の頃だけで、30代にもなってしまうとお客さんも増え、車もそこそこ売れ出すので、その書類回収や、車庫証明提出と取得、ナンバー変更や納車準備に追われるようになり、なかなか顧客フォローの時間も取れなくなって行ってしまうのです。そして最後には、保険の継続や、車検の連絡だけ、車も手放してしまうと、保険の継続だけ、というような形に、私の上司たちはなっているようでした。
メーカーの看板を背負っている
メーカー系の中古車マイカーセンターの場合は、よっぽど重大な事態にならない限り、潰れる心配はありません。安心して車の事を任せることができます。また、保険や車検などの車にまつわる手続きは、基本的に全て同じ事務所の中で行うことができます。これは、車の事があまりわからない状態の場合は、特に便利だと思います。少し慣れてきたら、例えば保険は外資のダイレクト系を検討してみるとか、車検は必要なところだけ安くできないかな、というように、考えていけばいいのです。担当者も、同じ営業所に何十年もいることは稀で、大抵は地区内をぐるぐると転勤して行くのが人事の常です。仮にこうなってしまったとしても、担当者はできるだけ自分でフォローしようと思いますし、できないのであればきちんと後継者に引継ぎをしますので、どうかご安心下さい。
総評
車を買うのが初めての場合、いろいろと相談したいことがあるかと思います。そのような時には、信頼のおけるディーラー系の中古車センターを是非ご利用なさって下さい。保険もJAFも整備も、全て一つの窓口で行うことができます。また、営業はある程度のお給料が保証されていますので、それほど売り売り攻勢に出ることもありません。感じのいい営業も多いでしょう。ただ、生命保険と車の担当者はすぐにいなくなる、というようなことを言われたこともあります。実際問題として、退職や転勤、配置換えなどは、専業の中古車店と比べると、はるかに高い確率で起こりえます。全般に信頼を寄せていた人が突然退職してしまう、というようなことも平気でありますので、一応念のために覚えておいて下さい。