10万円20万円の中古車の原価はいくらなのか?
中古車屋さんでは、いろいろな価格帯の中古車が販売されていますよね。その中で10万から20万といった、低価格の車は、初心者にとって魅力的です。こちらのコーナーでは、これらの車の原価はいくらなのか?ということについてお知らせして行きたいと思います。実際にディーラー系の中古車業界に長い間身を置いていた私が、中古車の価格の仕組みを徹底的に解説します。実はこのような低価格帯の中古車価格を知ることは、ディーラーの査定の仕組み、ディーラー査定のメリット、デメリット、を理解するのに役立ちます。最終的にはあなたにこの記事を読んでいただき、適切な知識を得て、得をすることができる、という所を目指してお知らせして行きますので、どうぞ最後までお見逃しなく!
ディーラー査定の仕組みを理解しよう
あなたが新車を買おうと思った場合は、どこに買いに行きますか?おそらくあなたが行くであろうお店が、自動車ディーラーです。「都道府県名+メーカー名」などの名前がよくついていますよね。私はこの系列の、とある中古車販売員として、また、辞めると言ったら止めてもらえて、その後は本社の中古車部の書類出し担当として、長い間働いていました。現場だけではなく、本部にもいましたので、いろいろな事を知っています。今回お話する事柄はそれほど特殊なことではありませんが、かといって、それほどネット上に書かれている情報でもありません。ありたきりの情報とは一味違う切り口で、中古車査定価格の仕組みをご紹介してみたいと思います。
あなたが車を買いに行き、車の購入を検討している旨をセールスマンに伝えると、そこから商談発生となります。車種や予算、人気やオプションや色など、次に欲しい車の事を一つずつ決めていきます。それと並行して、お支払いの事も考えていきます。その中でとても大事な位置づけにあるのが、「今お使いのお車をいくらで引き取らせていただくか」ということです。簡単に言うなら「下取り車の引き取り価格」ですね。この引き取り価格を決めるために、今お使いのお車を査定し、価格を決定します。その価格から「更に調整」し、最終的に「下取り価格」として、注文書のお支払い欄に計上します。ここでご注目いただきたいのは、この「査定の仕組み」です。ディーラーに行って商談が発生すると、担当セールスマンはお客様へのご説明にあたります。同時に、今お使いのお車、下取り予定車の価格を算出するために、査定をしなければなりません。担当がするケースも多いですが、それだと商談が長くなる、お客様をお待たせしてしまうというデメリットがありますので、手の空いている上司や他の営業が並行して査定を担当する場合もあります。ここで大事なことは、ディーラーでの査定は基本的に「誰が査定をしても同じ価格になる仕組みになっている」ということです。上司であろうと同僚であろうと、担当セールスマン自身であろうと、あなたの車の価値は、誰が見ても同じになるように、ディーラーの査定は設計されています。それはどうしてだと思いますか?
自動車査定の基本価格表で、同じ基本価格を見ているから
ディーラーで、下取り車の査定をする際には、まず第一に、あなたのお車の車種と年式と型式から「自動車査定基本価格表」に書いてある基準価格を参照します。この価格を基本価格とし、そこから、車検残や自賠責残の加点や、タイヤの溝の残りの加減点、スペアタイヤ、工具、ジャッキの有無、外装の状態や事故歴の有無などをチェックして、価格に反映させていきます。一部のディーラーオプションが加点される場合もあります。基本的に、後からユーザーが自分の趣向で追加している商品は、加点の対象となることはありません。このように、自動車ディーラーの査定は、「自動車査定基本価格表」の情報に基づいて行われます。あなたの車の価値を具体的に表示する第一歩となる、「基準価格」は、誰が見ても同じです。そこから加点、減点があり、最終的に査定価格が決まりますので、基本的には誰が査定しても、同じ価格になるようにと、自動車ディーラーの査定は設計されています。わかりやすく例えるなら、店長が査定をしたから高くなる、私が査定すると安くなる、という状況は、あってはいけないのですね。
いよいよ本題へ
前置きが長くなりましたが、ここからが本題の解説です。価格の仕組みを解説するのに、この、自動車査定基本価格表の存在をご承知おきいただきたかったのです。自動車ディーラーは、この本を頼りに査定をします。この本の価格以外を、査定書に転載することは許されていないのです。仮に悪いセールスマンがいて、基本価格を上げようとして、違うグレードの車の基本価格を転記したとしても、査定書は営業所直属の上司、本部査定課のチェック、入力者と、様々な担当の目でチェックされており、これがまたスゴイのですが、何百も査定書を見ていると感覚的に相場がわかるようになるみたいで、査定課のチェック担当が、何度も基本価格の相違を指摘し、営業所の所長へ電話していたのを私は傍で何度となく聞いてきました。そして、この基本価格ですが、ある程度の相場は反映されてはいるものの、その設定は、例えて言うなら基本の価格から経過月数を軸にした「コンピューターによる自動減額」のような価格設定となっていて、新車登録から一定月数経過してしまうと、必ずゼロになります。このゼロになる期間は車によって違いますが、あなたの車がこのゼロの範囲になってしまうと、査定上は「価値がない」ということになってしまうのです。これが、ディーラー査定の大きなデメリットであり、実はメリットでもあるのです。車を買いに行ったなら、今使っている車を一円でも高く引き取ってもらいたいと誰もが思いますよね。そこへ、「査定額は残念ながらありませんねぇ~。車検残分をプラスさせていただいたとしても、査定料、下取り手数料などを計上させていただきますので、結果的にはマイナスになってしまうかもしれません」と言われたら悲しいとは思いませんか?でも、これがディーラー査定の現実なのです。ディーラーの査定基準において、基本価格表に価格が載っていなければ、その車の価値、すなわち査定価格はゼロなのです。商談に来られたお客さまは、誰もが自動車に関して、あなたのような情報通とは限りません。営業の言う事が全てで、これ以外は選択肢がないと思っている方が沢山いらっしゃるのです。するとどうなると思いますか?これらの方々に長い間大切にお使いいただいていたお車は、査定価格ゼロ、として、査定され、(私が扱っていた頃ですが)最低引き取り価格の千円で注文書に計上されて、新車納車時に、新車の下取り車として自動車ディーラーに引き取られることになります。
解体処分か再販か
自動車ディーラーでは、このようにして下取り車としていただいたお車を、次にどうするか、具体的には、解体処分するか、再度販売するか、販売するなら小売りか、業販か、を判断する部署が必ずあります。この判断をしなければ、自動車税に関する処理ができないばかりか、お客様にご迷惑をおかけすることにもなりかねないからです。仮に解体処分しようとして自動車税を処理したものが、解体処理されずに、ナンバーはそのままで再度同じ都道府県に再販されてしまった場合、下取り先に「自動車解体に伴う自動車税の還付」が行われなくなってしまうのです。このトラブルを防ぐために、ディーラーでは下取り入庫車に対して、必ず次にどのように処理するのかを、その部署の担当者が決定しています。ここまでお話してきて、おわかりいただけたでしょうか?
結論 原価は?
自動車ディーラー独自の「査定基本価格表」に基づいて査定を行うと、価格がつかない車が沢山あります。これらの車は、自動車ディーラーでは基本的に解体処分が行われていますが、近年では輸出業者の台頭やオークションの活性化などもあり、再販されるケースも多くなっています。あなたがご覧になっている、プライスボードに「10万円」「20万円」と表示のある車は、以前の所有者様が「自動車ディーラーで新車を買った際の下取り車」としてお使いになっていたのであれば、千円です。原価を知ってしまうといろいろなご意見があるとは思いますが、業界的にはぼったくりでも何でもなく、中古車の発生と流通から見る中古車市場の原理に則った適正な価格なのです。現在は中古車に関する情報も数多くインターネットに発信されるようになりました。ディーラーで値段がつかないことに疑問を抱いている方、こちらの記事もご参考になさって下さい。
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