運送屋さんの人間関係はどんな感じですか?
運送屋さんに転職したいと思っているけれど、運送業界の人間関係はどうなのか、心配な方もいらっしゃると思います。数社の運送会社で働いてきた経験を持つ私が、私なりに感じていることをアドバイスさせていただきますね。まず理解しておくべきことは、運転手という職業は、世間一般で言われる背広を着たサラリーマンに比べて、比較的仕事に就くことは容易だということです。免許さえ持っていれば、運転手になる資格はあるということで、様々な経歴を持つ人が集まっています。仮にこれが私の前職、自動車販売会社の営業だとすると、学校を卒業していなければならない、採用試験に受からなければならない、採用後は保証人が必要、などのハードルがありますが、運転手は学歴を求められることはまずありません。大抵の場合は簡単な面接で人間性を見られて採用の判断がなされます。運送業全般の傾向として高齢化が顕著に進んでいますので、会社によっては定年制度もなく、体が続く限り働くことができるケースもあります。
本当にいろいろな人がいる
私はサラリーマンの世界から、お金を貯める目的でとある運送会社に就職したのが運転手生活のスタートでした。当時は日本も景気が良く、物流全般もその恩恵を受けていましたので、私は求人票に記載されている通りの給料をもらう事ができました。かなり身体はきつい仕事でしたが、お金がもらえるので何とか続けることができました。仕事を覚えることと、それを毎日こなす事が精いっぱいでしたので、それほど人間関係に悩むことはありませんでしたが、トラックの運転手と言えども組織化されていて、10台程のトラックで班編成となっていました。組織的には、偉い人→班長→主任→同僚 という感じでした。人間関係ではありませんが、当時同じ班の中で一緒に働いていた車が、以前の経費削減のあおりを受けており、エアコンがついていませんでした。そんな事をものともしない人が乗っていましたが、周囲からは様々な声が上がっていました。班の中では約10台の車が稼働していましたが、その中の車がどれも同じ状態ということはなく、それぞれに故障がちだったり、オプションが付いていたり、装備に違いがあったりしており、時々私の担当車に対して「お前の車はいいよな」などと皮肉を言われることもありました。班の人間同士でもそれなりにいろいろなことがあります。あのコースは荷物が多い、あのコースは早く終わる、などなど、コースに関しても時折話題になりました。ですが、一番大切なのは自分自身の仕事に対する心構えです。配達が遅ければ周囲に迷惑をかけることになります。新人の頃はそれでも許されますが、ある程度経験を積んで来れば、周囲と同じように仕事を終わらせる事が求められてきます。それができなければ、同僚から文句も言われてしまうでしょう。その会社は当時は給料が高いことでも有名でしたが、運転手一人一人の給料の話になることもありました。あいつはあんなコースなのにいくらもらっている、こんなに頑張っているのに給料が上がらない、そんな話はしょっちゅうありました。仕事で大きなミスをすれば、こっぴどく叱られます。私は同僚にわしづかみにされ、トラックの陰で蹴っ飛ばされたことがあります。わざとやった訳ではなかったのですが、かなり同僚を怒らせてしまった事がありました。今の時代なら傷害事件で何とか、かもしれませんが、運送会社とはこんなもんなのかな、と、自分なりに考えたことを思い出します。会社の中でやることは同じですが、本当にいろいろな人がいます。免許証さえ持っていれば採用されますので、今までに出会ったことがないような人と出会い、一緒に仕事をするようになるかもしれません。ですが、私が思うに、人間はみんな同じです。いろいろなところでいろいろな人が働いていますが、基本的な部分は同じです。みんな一生懸命に仕事をしていますし、顔は怖いですが、一緒に汗を流して働いて、休憩時に喋ると、根は本当に優しい人が多いです。
大抵は仕事のことと車のこと
その仕事にもよりますが、どの車に乗って、どんな仕事をするのかということが、運転手の最大の関心事です。配車係から連絡をもらうわけですが、この廃車係に全てがかかっています。ルート配送や定期便などの場合は、仕事内容もそうですが、いつ休みになるか、などの事が重要になってくるかもしれません。一つ前に所属していた会社では、配車にいつも文句を言っている同僚がいました。自分の事、自分の用事をいつも主張し、配車係に圧力をかけるような言動をいつもしている同僚がいました。周囲から見ると迷惑な話ですが、大抵このケースでは、本人は自分が悪いとは思っていません。特にチーム全体で一つの大きな仕事をこなしているケースでは、このような同僚の存在はとても迷惑です。ですが、運送会社に限らず、人間が沢山集まる所には、一定の割合でこのようなトラブルは起こっているようですね。上に立つ人が上手にコントロールしてくれればいいのですが、それができていない場合は難しい問題となってしまいます。仕事自体ももちろんですが、人が集まって職場を形成している以上、このようなトラブルは起こってしまう可能性があります。ちなみにその会社は組合もきちんとしていて、問題を吸い上げる窓口もあったのですが、会社と組合の関係も何だかなれ合い気味に感じられ、私はそれを頼りにしたいと思うことは一回もありませんでした。
まとめ
運送屋さんは運転していればいいのだから、人間関係のトラブルなどとは程遠く気楽な商売だ、と思っている方も多いと思います。確かに仕事内容によってはそれは一理あるかもしれません。私が延べ20年以上運送業界に身を置いてきて感じることは、人が集まって仕事をしている以上、人間関係の問題はどこにでもある、ということです。同じ状況でも、ストレスを感じる人と感じない人がいます。言い方を変えるなら、自分次第とも言えるでしょう。運送業界に入るにあたって大切なことは、これで食って行くんだという強い意志です。強い意志がなければ、ストレスにやられてしまいます。何をするにしても同じです。まず慣れるまでは、強い意志を持って頑張ってみて下さい。免許取得に関しては、以下のページも参考になさってみて下さい。
→ タンクローリー運転手になる方法